• 創業明治39年。日本一綺麗な仲卸。
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外出先

毎度湯川です。
先日お休みをいただきまして、カミさんとも休みが合う日が出来、ひっさびさに夫婦で不要不急と言える外出をしました。
私は大学進学を機に京都に下宿したんですが(ほぼ30年前)、最初に住んだのが、京都駅から見て北東部、左京区の一乗寺という町で、かの宮本武蔵と吉岡一門が決闘をした場所もほど近くです。

その下宿の近くにマニアックな書店が出来て、雑誌「現代思想」とか、伝説の漫画雑誌「ガロ」・つげ義春や水木しげるの漫画の復刻版などを立ち読みさせてもらっていました。
結婚後、夫婦で訪れたこともあり、昼食後にあてもなく車を走らせていて二人で思いついた行先が、その書店でした。
その書店がまだあるかも確認せずに行ってみると、かつての下宿、木造モルタル二階建てアパートはすでに無く(俳優の辰巳琢朗氏が学生時代住んでたとかでロケに来てた記憶があります。隣の部屋から出てきはってびっくりしました)、
この交差点の先に叡山電鉄一乗寺駅があり、商店街だったはずですが、早朝からやってた食堂も、トマトソースとクリームソースしかないパスタ屋さんも、大好きだった豚骨ラーメン屋さんも、定食が独特だった「王将」も、みんな無くなってます。

さて、件の書店は、元気に営業してました。
さすがに2021年、「現代思想」・「ポストモダン」・「脱構築」なんて言葉は見かけませんが、それでもいまだに「シュルレアリスム」とか、「フリーインプロビゼーションの聴取」とか、ショッピングモールの本屋さんでは決して味わえない、ワケはわからんけどなんとなく懐かしい、特別な空間の空気を味わえる文字列を目にします。読んだことないけど、古本コーナーに「埴谷雄高著作集」とか並んでて、演出は凝ってます。

一時間ほどいたのか、三冊だけ買いました。
特に一番左の本は、私が今の仕事をしていなかったら決して手に取らなかったものでしょう。初版は55年前で著者は私の亡祖父(大正元年生)と同世代。今度の読書サークルの課題書籍、どれにしましょう中川先輩。

カミさんといえば、本には目もくれず、ずっとブローチ選びをしてました。5・6種類私に見せてどれがいいか、と。私は書店の雰囲気に毒されたか、「具象的すぎるデザインは避けた方がよい」とかなんとか、普段話し言葉ではまず使わないコトバを使ってました。

カミさんは結局何も買わず、学生さんばかりの誰も声を発しない店内で、中年夫婦の品定めの響きだけ置いて帰った午後でした。

以上。